コア技術について

開発の経緯

GeneSoC®miniおよびGeneSoC®のコア技術である
「マイクロ流路型サーマルサイクル技術」は、
杏林製薬株式会社が独占的な実施権を保有しています。
GeneSoC 開発の経緯 【産総研 「迅速」「小型化」を目指した新規PCR技術の研究を開始】→ 事業化に向けた産総研発ベンチャー設立 → 【株式会社ジェイタス マイクロ流路を活用することでサーマルサイクルの迅速化を達成】→ 杏林製薬に吸収合併【杏林製薬株式会社 マイクロ流路型サーマルサイクル技術の多分野での活用に着手】

・PCRの課題

 PCR(Polymerase Chain Reaciton)法は1980年代に発明され、その後、遺伝学、生理学、分類学などの研究において広く応用されている核酸増幅法です。PCR法は遺伝子解析技術として非常に感度が高いため、目的遺伝子の検出に広く利用されてきましたが、装置が比較的大きく、検査時間も比較的長いことから、医療現場等での迅速検査には使いにくいという課題がありました。

・GeneSoCの開発

 国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下、産総研)では、2001年に米国で発生した炭疽菌事件をきっかけとして、「迅速」 「小型化」を目指した新規PCR技術の研究を開始しました。このPCR技術の研究は、産総研発ベンチャーである株式会社ジェイタス※1に受け継がれ、マイクロ流路を活用することでサーマルサイクルの迅速化を達成したGeneSoCのプロトタイプが開発されました。
 その後、杏林製薬株式会社が事業を継承して、2019年11月に研究用機器としてマイクロ流路型遺伝子定量装置「GeneSoC®」を販売しました。その後 更なる小型化を進め、2021年11月下旬より一般医療機器として「遺伝子解析装置GeneSoC®mini」を販売しております。

・GeneSoC®mini(一般医療機器)の貢献

 感染症治療においては、薬剤耐性(Antimicrobial resistance;AMR)への対応として、抗微生物薬の適切な選択等、薬剤の適正使用への取り組みが推進されています。このような状況下、迅速・適確・簡便に原因微生物を同定できるGeneSoC®miniは、抗微生物薬の適正使用推進に繋がる感染症診断での活用、さらにはPOCT※2による適切な薬剤選択にも寄与できると考えられます。

・杏林製薬株式会社の取り組み

 今後、医療分野、食品を含めた衛生管理分野、その他の分野での活用に向けて、製品のさらなる改良に取り組んでいきます。

※1 :2017年9月にジェイタス社は杏林製薬株式会社に吸収合併されました。
  【プレスリリース1】 【プレスリリース2】
※2: Point of Care Testingの略。被検者の傍らで医療従事者が行う検査。

技術情報

 GeneSoC®miniおよびGeneSoC®のコア技術は、「マイクロ流路型サーマルサイクル技術」です。これは、マイクロ流路の下部に、あらかじめ設定した温度帯のヒーターを設置し、マイクロ流路に入れた試料を空気圧でヒーター上に移動させることで、試料を素早く目的の温度に変化させ、これを繰り返すことでサーマルサイクルを行ないます。従来のサーマルサイクルにはペルチエ素子と冷却フィンなどの大掛かりな機構が必要で、また温度変化に時間を要しましたが、この技術を用いることで、迅速、小型、かつ消費電力が少ない核酸増幅が可能となります。

マイクロ流路型サーマルサイクル技術
マイクロ流路型サーマルサイクル技術 プロトコール例